平成30年2月24日(土)、三池炭鉱ほりだし物語 第5回を開催しました。
講師は『三池炭鉱 宮原社宅の少年』の著者である農中茂徳さん。
著書の内容に沿って、解説、または(著書に)書かれていない話を織り交ぜての講演内容となりました。
その他にも、三池、筑豊の(炭鉱の)話や貴重な写真、資料を見せていただいたりと、盛りだくさんでした。
とても朗らかで、時々冗談を交え、会場にお越しの皆様と共に笑い、そして懐かしみ、暖かな空気が会場を包んでいました。
そして・・・
「最後に父と母の話を・・・」
と、切り出し、『三池炭鉱 宮原社宅の少年』の世界は最終章に突入しました。
「母がね、わたしの手を引いてずっと病院につれていってくれたんです。」
農中さんは小学1年の冬に小児結核を患いました。
お母様は献身的に看病なさり、雨の日も木枯らしが吹く日も、農中さんの手を引き通院されたそうです。
「つらい・・・とは正直あんまり思わなかったですね。それよりも外出できることが嬉しかった。病院の帰りにお店でかき氷を食べたりとか。」
と、穏やかに、お母様との思い出が語られていきます。
そしてフィナーレ、お父様から「お母さんは(農中さんの)病気を治そうと一生懸命やった。お母さんには、感謝しとかんとね」と言う、言葉の贈り物をいただいた話をされました。
紡がれた親と子の絆の話に、会場は惜しみない暖かな拍手に包まれました。
宮原社宅の少年はやがて大人になり、一冊の本を世に出します。
それは、地元大牟田への、炭鉱への、社宅への、仲間たちへの、そしてご両親への感謝と愛に満ちた美しい宝石のように思えました。
農中さん、本当にありがとうございました。