平成29年12月16日(土) 三池炭鉱ほりだし物語 第4回『三池島 野鳥保護の記録と荒尾干潟』が開催されました。
「坑内で無残な亡骸となっている鳥たちを発見したとき、(坑内の事故などで)亡くなった仲間たちが重なりました。いてもたってもいられなくなりました。」
冒頭、講師を務める元炭鉱マンの安尾征三郎さんは、静かにそう語られました。
「(吸気口は)炭鉱マンの安全を、命を守ってはくれましたが、しかし、鳥たちにとってはブラックホールでした。」
三池炭鉱の坑道の換気用竪坑として1970年に建設された三池島は、坑内の換気向上に貢献した一方、吸気口から野鳥が吸い込まれ、犠牲となっていました。
人命を守るその裏側で、鳥たちの命が奪われる、その事実を告げられ、複雑な、なんとも言えないジレンマを感じました。
「(何羽か)生きている鳥がいたんですよ。」
「瀕死でしてね。素手で簡単に捕まえられるんですよ。野生の鳥が、ですよ。わたしが、人間が、もう、こんな間近に寄っても、逃げられないほどに・・・。」
安尾さんの話は真に迫り、胸が締め付けられました。
しかし物語は、この鳥たちの救出から加速していきます。
献身的な手当の後、荒尾干潟で、鳥たちを空へかえしたとき、安尾さんは鳥たちを守る決心をしました。
「企業にいながら、それ(落下防止の対策など)をやることは、夢物語だと分かっておりましたけどね。」
と、ちょっとおどけながら語られましたが、安尾さんのその想いは、たくさんの人達の心をうち、世論を動かしいきます。
そして、周知の事実のとおり、現在、三池島は絶滅危惧種であるベニアジサシやコアジサシの非常に貴重な繁殖地となり、鳥たちの楽園と呼ばれるまでになっています。
今回のほりだし物語は、生と死の現場に立ち会ってきた方の言葉は、やはり重く、そして命の尊さを再認識させられた講演となりました。
安尾さん、本当にありがとうございました。
※安尾さんがご用意いただいた、講演資料の残部がございます(若干数) ご希望の方は石炭館事務室にてお渡しいたしますので、お気軽にお声掛けください。